塚本邦雄が『王朝百首』で採りあげていた歌。
惑はずなくららの花の暗き夜に我も靆(たなび)け燃えむ煙は
まどわずな/くららのはなの/くらきよに/われもたなびけ/もえむけむりは
藤原顕綱の家集『讃岐入道集』に入ってる。
なんか佶屈で、意味のよくわからん歌ですが。
詞書は、「百和香にくららの花を加ふとて詠める」
百和香(はくわこう)とは陰暦五月五日に百草を合わせてつくる香だそうですが、
なんでそんな題で、闇の中で煙りになってたなびいちゃうんでしょうかこの人は。
『讃岐入道集』、国歌大観で読んでみたら、なんか微かに漂う変人の匂いが。
雨ふればうき言の葉も茂る世に羨ましくも散る桜かな
とりたててどうという歌でもないけど、妙にひねくれた感じでおもしろい。