セロニアス・モンクは女性に捧げたバラードの名曲というのが多いですね。
"Ruby My Dear"のルビーさんは、初恋の女性の名前だとか。
パノニカ男爵夫人に捧げた"Pannonica"、あの曲もすごくきれいなんだけど、半音ちがいの2つのキーのマーブルになってて、不思議なコード進行。
それでこのクレプスキュール・ウィズ・ネリー Crepuscule with Nellie、ネリーさんと眺める夕焼け。セロニアス・モンクが、奥さんのネリーさんが病気で入院中に書いたとされるバラード。ネリーさんとモンクの関係はドキュメンタリー"Straight No Chaser"を見ると、よくわかる。
勉強のために耳コピに挑戦してみた。AABA各8小節の歌曲形式、モンクはこの曲では即興しません。ブルージーなところと、Bパート中盤のダイアトニックな和み感のコントラストがキレイだと思う。
【Aパート】
|Bb7 | Eb9 |
| Ab7(13) Db7 | Gb7 |
|Cm7 F7(b9) | Bm7 E7 Bbm7 Eb7|
|Ab△7 | Gb7(#11) |
【Bパート】
|Abm7 Ab7| Bm7 Bbm7|
|Ab△7 |Ab△7 (Db7 D7 Eb7)|
|Fm7 Cm7 Bbm7 (Eb7 D7) | Db7 Ab△7 (Db7)|
|(D7)Eb7 (Gb7) | (G7)Ab7 (A7 Bb7) |
コーダはAパート最後のGb7からAb△7、Bb7、B7と上がって、C7に解決。
主旋律に半音をぶつけてたり、ヘンな同音連打があったり、モンク先生ならではの、不可思議なメロディ。
曲のBPMがかなり遅くて、さらにシンコペーションが多用されている。
そういう曲を、モンク先生は(やはり思い入れがあるのか)かなりルバート気味に弾いたりするので、大人数での録音では、聴いててハラハラしてしまう。
想像ですが、プロの音楽家の人にとっても、難しい曲なんじゃないでしょうか...
大編成のモンクといえば、"Monk's Music"と"Thelonious Monk Orchestra at Town Hall"。その両者でこの曲をやってる。
タウン・ホールの方は、おもしろいです。
モンク先生、複雑な曲なのに、オケとタテの線を合わせる気がないような...
それで、いろいろとグダグダなんだけど、やっぱりプロのジャズミュージシャンだから、なんとなくまとまって、妙に勇壮な感じになってきたりして。
こういう、まったりしてるがやるときはやるぜ、的な感じが、往年のジャズで私が好きなところです。
なお、Town Hallでは、汽車ポッポソングの"Little Rootie Tootie"とかは、普通の意味で、かっこいいです。
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