Sachiko Mという人は大友良英との共同作業でサンプラー、サイン波奏者、超ハードコアなミニマリストだと思ってたから、NHKドラマ「あまちゃん」のヒット曲の「作曲者」として現れたのでびっくりした。しかも滅茶苦茶キャッチーな曲だし。
それで、アンサンブルの中のサイン波演奏というのが、どのようなものなのか、ということについて、突然気づいたこと。大したことじゃないけど。
サイン波というのは、周囲の器楽音になじまない性質を持ってる。
それで、高いピッチのサイン波が楽器演奏の中で鳴ると、周囲の音を相対化するから、
アコースティックなアンサンブルが、なぜか電子音楽みたいに聞こえたりする。
それで、この働きって、ベースが低域でやってることの鏡像ともいえる。
ベースはアンサンブルの周波数構成の最低域にいるから、メロディ、ハーモニー、リズムを一音だけでコントロールすることができる。これがベーシストの楽しみ。
そんな強力な楽器であるベースの弱点ですが、音楽に詳しくない人には、演奏してるのかどうかわかってもらえないという悲劇が、よく指摘されます。
「地味なギター」だと思われたり。
高域のサイン波は上にいるから、メロディ、ハーモニー、リズムを変える力はないのだけれど、それでも干渉によって、アンサンブルの響きを変えてしまう。
サインウェーブ演奏というのは、単純きわまりないアイデアだけれど、ジョン・ケージ"4'33"ばりに、すごい発明、だと思った。