Charley Patton "Poor Me"
むかし、第二次世界大戦前のブルース、いわゆる戦前ブルース pre-war bluesにはまってたことを思い出し、聴いてみたら、すごく良い。沁みます。
この"Poor Me"はいわゆるブルース的な曲じゃなくてフォークソング的な曲で、変わったコード進行。パットンには自分の死を予見したような曲があるんだけど、その一つ。
Poor Me かわいそうなおれ
Yes on me, it's poor me, you must take pity on poor me
I ain't got nobody, take pity on poor me
かわいそうだと思ってくれ 憐れんでくれよ
他に誰もいねえんだ 俺のことを想ってくれよ
You may go, you may stay
But she'll come back some sweet day
By and by, sweet mama, by and by
出て行っちまうのか。居てくれるのか
いつかまた逢えるさ、いつかすてきな日に
バイバイ、可愛い女、さよならだ
Don't the moon look pretty shinin' down through the tree?
Oh, I can see Bertha Lee
But she can't see me
木の葉ごしに見える月が、なんだかきれいだなあ
ああ、むこうにバーサ・リー*が見える
だがあいつに俺は見えないんだ
*バーサ・リー … パットンの妻
You may go, you may stay
But she'll come back some sweet day
By and by, sweet mama
Oh baby, won't you, by and by
出ていってもいいさ、居てくれてもいい
いつか帰ってくるだろ、すてきな日に
バイバイ、可愛い女、バイバイ
ベイビー、さよならだ
Poor Me by CHARLEY PATTON (1934) Delta Blues Guitar
- アーティスト: サン・ハウス&チャーリー・パットン
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チャーリー・パットン(1891-1934)
現在のブルースの源流であるミシシッピ・デルタの音楽、いわゆるデルタ・ブルースが自然発生する現場にいた重要なミュージシャン、パットン。
他に"Spoonful"とか"Shake It and Break It"とかが好きだな。
写真を見るとわかるように、風貌にアフリカ系アメリカ人っぽくないところがある。
当時のアメリカのことを少し学べば、それは別に不思議じゃないんだけど。
たしか『コンプリート・レコーディングス』のライナーで、当時のパットンを知る人が、パットンの風貌のことは話題にしないことになってた、と語っていたのを読んだ記憶がある。「どこから来た人なのかわからなかった。中国人に見えた」とか。
するとある時パットンが語ったという。
『俺が何者なのか? 俺にはわからん。わかっているのは、俺がここにいる、ってことだけだ』