タパヌリ熱

"What do you know, pray, of Tapanuli fever?" said Sherlock Holmes. 音楽や本など、嘘や発見を書くブログ。旧ブログ http://ameblo.jp/baritsu/

仏教

パーリ文『テーリー・ガーター』翻訳語彙典

本屋に行ったらパーリ語経典の学習に役立つ新刊書が。 『パーリ文『テーリー・ガーター』翻訳語彙典』(植木雅俊, 法蔵館, 2023) 定価5,500円、仏教の専門書としては安い。 「翻訳語彙典」とは何ぞやというと、すべての単語の文法的・語義的な解説が明記さ…

アラナ精舎、パーリ経典ライブラリー公開

パーリ仏教を学ぶ上で基本となるパーリ語三蔵が手軽に読める環境が、日本にはない。 三蔵の日本語訳はいくつかあるが、値段が高かったり、おそらく大半の現代人にはキツめのクラシカルな訳文だったり… パーリ原文さえ読めればオンラインで無料で読み放題です…

「敬礼」で学ぶパーリ語の名詞

「敬礼」で学ぶパーリ語の名詞 敬礼 Vandanā Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa. かの阿羅漢、正等覚者である世尊に礼拝いたします この敬拝文を例に、パーリ語の名詞の文法を見てみる。 1.パーリ語名詞の属性:性・数・格 (1)性 パーリ…

【パーリ語のお経】三十二身分

【三十二身分 Dvattiṃsākāro】 小部経典 第1経/小誦経 しょうじゅきょう khuddaka-pāṭhaより Atthi imasmiṃ kāye – この身体に(以下のものが)ある (1)Kesā (2)lomā (3)nakhā (4)dantā (5)taco, 頭髪、体毛、爪、歯、皮膚、 (6)Maṃsaṃ (7)nhāru (8)aṭṭhi(9…

パーリ仏典『梵網経』:メタ宗教としての仏教(5)

■梵網経の構成 つづき 5(1)経典のまとめ 1-1 これらの宗教思想家は、合計62の過去・未来についての見解をもっている。 過去・未来についての宗教的・形而上学的見解は、これら62の根拠による他ない。 如来は「これらの見解は、このように囚われていて、こ…

パーリ仏典『梵網経』:メタ宗教としての仏教(4)

■梵網経の構成 ここまでは過去世についての当時の宗教家の意見、ここからは未来についての意見。 4(6)有想論 6-1 死後に想念のある我(魂)がある この見解は16種類に分かれてますが、 死後に、想念をもつ、不変の魂があるという主張はすべてに共通、 ・…

パーリ仏典『梵網経』:メタ宗教としての仏教(3)

■梵網経の構成 4(2)一部永遠論(つづき) 2-2 キッダーパドーシカー(遊びで汚れるもの)の世界 快楽にふける神々(Khiddaapadosikaa)の世界から人間世界に転生してきた修行者が、瞑想の中で、「自分たちは、快楽により心が汚れた神々の一員であり、煩…

パーリ仏典『梵網経』:メタ宗教としての仏教(2)

前■梵網経 Brahmajaala-sutta は、すごくおもしろいパーリ仏典の例として、長部経典 Dhiiga-Nikaayaの最初の経である『梵網経 Brahma-jaala sutta』を取り上げたい。大乗の『梵網経』とは別もの。 梵網経 - Wikipediaでは、戒律と外道の教え、そして仏教の立…

パーリ仏典『梵網経』:メタ宗教としての仏教(1)

■パーリ語仏典は、すごくおもしろい。 日本で一般の人に親しまれているパーリ語のお経といえば、スッタニパータ(経集)、ダンマパダ(法句経)、マハー・パリニッバーナ(大般涅槃経)あたり。 なぜこの三つか。理由は大きく二つ。 第一に、中村元博士の翻…