タパヌリ熱

"What do you know, pray, of Tapanuli fever?" said Sherlock Holmes. 音楽や本など、嘘や発見を書くブログ。旧ブログ http://ameblo.jp/baritsu/

惑はずなくららの花の暗き夜に我もたなびけ燃えむ煙は/藤原顕綱

塚本邦雄が『王朝百首』で採りあげていた歌。

 

惑はずなくららの花の暗き夜に我も靆(たなび)け燃えむ煙は

まどわずな/くららのはなの/くらきよに/われもたなびけ/もえむけむりは

藤原顕綱の家集『讃岐入道集』に入ってる。

 

なんか佶屈で、意味のよくわからん歌ですが。


詞書は、「百和香にくららの花を加ふとて詠める」
百和香(はくわこう)とは陰暦五月五日に百草を合わせてつくる香だそうですが、

なんでそんな題で、闇の中で煙りになってたなびいちゃうんでしょうかこの人は。

 

『讃岐入道集』、国歌大観で読んでみたら、なんか微かに漂う変人の匂いが。

 

雨ふればうき言の葉も茂る世に羨ましくも散る桜かな
とりたててどうという歌でもないけど、妙にひねくれた感じでおもしろい。


 

王朝百首 (講談社文芸文庫)

王朝百首 (講談社文芸文庫)