チャーリー・パーカー Cahrlie Parkerの凄さについて、マイルス・デイヴィスが自叙伝で証言するような、その場の腕利きミュージシャンたちが訳わかんなくなって、全員ぶっ飛んだ、的な演奏というのは、スタジオ録音では聴くことができない。
もちろん、スタジオ録音も凄いけど、演奏時間に3分程度の制限のあるSP盤は、ほど良い名人芸によるウェルメイドな音楽のためのメディアであって、即興演奏のためのメディアではない。それはVerve時代にしたって同じ。
バードの何が当時のミュージシャンを畏怖させたか、ってことは、だから今日残された40年代のライブ録音で「推測」できるのみ。Dial、Savoiy、Verve盤は、化石みたいなもので。
話変わって、ビバップはスイングジャズと何が違うのか。
そこで気になるのが、バードが"Tiger Rag"を演奏してる録音の、後半部のビート。
この演奏、超ヤバいと思うのですが、あまり語られてない気が。
1947年9月、バリー・ウラノフの「ビバップとディキシーランド、どっちが強いか」というおバカ企画における演奏で、ビバッパーのバードがディキシーを演奏してるわけ。
ESP-DISKの"Live Performance"に入ってる。
パーソネルは
Dizzy Gillespie、John LaPorta、バード、Lennie Tristano、Billy Bauer、Ray Brown、Max Roach。
トリスターノ一家との共演でディキシーランド、というなんともシュールな事態。前半は高速化したディキシーの2ビートで、だから後半が「ビバップ流の演奏」ということになるのだが、このビートがヒップホップか、ファンクにしか聞こえない。
要はディキシーの2ビートに対して、ビバップはビートがさらに細分化されて、ドラマーのアクセントの付け方が自由になってます、という実演。