タパヌリ熱

"What do you know, pray, of Tapanuli fever?" said Sherlock Holmes. 音楽や本など、嘘や発見を書くブログ。旧ブログ http://ameblo.jp/baritsu/

エリック・ドルフィーの手稿

エリック・ドルフィーに関する膨大な資料が発見されたというニュースについてのメモ。

いつのニュースかといえば、2014年5月27日付New York TimesのBen Ratliffによる記事(ネット上にアーカイブあり)、8年前なのでもはやニュースじゃないが、ネット上の日本語記事でみたことがないので。

 

8年前のニュースによると、ドルフィーの手稿が米国議会図書館the Library of CongressのMusic Divisionに収蔵され、一般公開されている、とのこと。

GoogleEric Dolphy Manuscriptとか検索すると、出てくる。

以下は記事の大意。

 

これらはドルフィーの友人Hale Smithが長く所有していたが、Smithの死後、妻のJuanitaが作曲家・フルート奏者のJames Newtonに託した。5つの箱に収められた手稿には、いくつかの未発表曲や、Hat and Beard、Gazzelloni、The Prophetなどの別アレンジが含まれている。

 

手稿の中には、ドルフィーの音楽的思考の解明に重要と思われる文書が含まれている。他の音楽家の作品の採譜には、チャーリー・パーカーストラヴィンスキー、バッハの無伴奏フルートのためのパルティータや、バッハのチェロ組曲1番のバスクラリネット用編曲などが含まれる。

 

また、ドルフィーが作曲・即興演奏の基盤としたと思われる素材もあるという。

すなわち、何百もの合成音階(synthetic scales、日本ではコンポジット・スケールともいう)の手稿が存在し、記事では、このような研究が、たとえば"Out to Lunch!"の一部に、作曲および即興の素材として生かされた、としている。さらに「鳥の鳴き声bird callsの採譜」も含まれていたという。

まあ記事中にOut to Lunchのここがそうだよ! などと具体的にスコアは示されていませんが、これは重要ですね。人工音階から作曲・即興してるから、いわゆる「ポピュラー音楽理論」を逸脱してる、という...。