タパヌリ熱

"What do you know, pray, of Tapanuli fever?" said Sherlock Holmes. 音楽や本など、嘘や発見を書くブログ。旧ブログ http://ameblo.jp/baritsu/

暴動鹽のごとくあたらし剛毛のツェッツェ蠅棲む國の處女に/塚本邦雄

ぼうどうしおの/ごとくあたらし/ごうもうの/つぇっつぇばえすむ/くにのおとめに 塚本邦雄 理由は忘れたけど何年もまえ、図書館で『現代短歌体系』(三一書房)七巻を手にとった。小学生のころ、親父の蔵書の『全集 現代文学の発見』の『言語空間の探検』…

我が父塚本邦雄/塚本青史

『塚本邦雄の青春』(楠見朋彦,ウェッジ文庫,2009)と並び、興味深い資料がまた一つ。 ご子息にして歴史小説家である塚本青史氏による塚本邦雄の評伝。 硬質な文体で塚本邦雄との生活を描いている。 読みどころは、全部。しかしあえて一つとなれば、やはりア…

少女千草眩暈きざす藥種店うすくらがりに百のひきだし/塚本邦雄

しょうじょちぐさ/げんうんきざす/やくしゅてん/うすくらがりに/ひゃくのひきだし 塚本邦雄 塚本邦雄の歌には、あまり謎とか多義性といったものがない、と思う。 塚本の第一技法は名詞の衝突にあり、だから使われている名詞さえ正しく理解すれば、それが…

スティックがきらいでチューブ入りの糊を好むわけを教えようか/高瀬一誌

スティックがきらいでチューブ入りの糊を好むわけを教えようか 高瀬一誌 今いちばん好きな短歌の一つ。 短歌定型の感覚でいうと、 すてぃっくが/きらいでチューブ/いりののりを/このむわけを/おしえようか となる。 この歌の優れたところは、どこか。 昔…

ひとすじの飛行機雲のあかるさは世界を絞める真綿のように/松木秀

「短歌往来」誌2015年1月号の「次代を担う歌人のうた」特集で眼にとまった歌の一つ。 個人的には80年代以降のほとんどの口語短歌は苦手で、意味の面でも韻律の面でも、関心の対象として浮き上がってこなかった。 この歌も、初めて誌面で見たときは、「真綿で…

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ/若山牧水

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水 しらとりは/かなしからずや/そらのあお/うみのあおにも/そまずただよう たぶん一番有名な短歌の一つを、勉強をかねて読んでみるなり。 ●歌意 この歌はほとんど現代語なので、訳す必要が…

満月は熟れつつ 賜へわが領に鳥目繪の斑の吐噶喇列島

満月は熟れつつ 賜へわが領に鳥目繪の斑の吐噶喇列島 塚本邦雄 第八歌集『蒼鬱境』 まんげつは/うれつつ たまえ/わがりょうに/とりめえの ふの/とかられっとう 『蒼鬱境』は塚本邦雄の著作の中でも最大のレア本で、オリジナルは限定20部の肉筆私家版。稀…

巻き舌のやり方

突然スペイン語を勉強しはじめたので、巻き舌 tongue trillを習得しなければならなくなった。子供のころ、弟が得意げにルルルルル~♪とやっているのをうらやましく見てた思い出があるのだけど、しかしながら練習したら、たった一ヶ月程度で、できるようにな…

宗教と貨幣と、私のいぬ

宗教に関心を持つ人は多かれ少なかれ、何かを求めている。そしてある時間の修行、ある額のお金などによって、それに見合った神秘的な何かが獲得される、と思う。 もちろん、札束で買いたたくような不敬な気持ちなどかけらもなく、真剣に教祖や神々を敬った上…

仏教とは、何なのか

仏教の本質が何かということは、仏教にあって、他の思想にない部分を見ればわかる。2500年くらい前のインド諸思想のもんだいは、輪廻からの解脱だった。 (1)輪廻論〜業論 仏教出現の時代背景輪廻論はつまり、「私の生には意味があるのか」といいかえられ…

チャールズ・ミンガスの書く歌詞

マイルス・デイヴィス Miles Davisの初期作"Blue Haze"を買ったら、ミンガス Charles Mingus がピアノを弾いてる"Smooch"という曲があった。マイルスとの共作になっているけど、これはミンガスの"Weird Nightmare"という曲と異名同曲。ミンガスのピアノが妖…

ヘタクソかつ、感動的な音楽について

下手くそな演奏や、演奏ミスというのが、すごく好き。 真剣にやったけど、上手くいかなかった、というのが好きなので、上手い人が、わざと滅茶苦茶にやってる演奏というのは、あまりおもしろくない。 「上手い」音楽といっても、必ずしもその音楽家の限界ぎ…

サイン波奏者Sachiko Mについて

Sachiko Mという人は大友良英との共同作業でサンプラー、サイン波奏者、超ハードコアなミニマリストだと思ってたから、NHKドラマ「あまちゃん」のヒット曲の「作曲者」として現れたのでびっくりした。しかも滅茶苦茶キャッチーな曲だし。 それで、アンサンブ…

デレク・ベイリー インプロヴィゼーションの物語

■「デレク・ベイリー インプロヴィゼーションの物語」(ベン・ワトソン著, 木幡和枝訳, 工作舎, 2014)を読んだ。 訳文の読みやすさは、長い親交のある著者ならではのベイリーへの深い理解からくるものだと思わされました。訳者後書きの、この本は演奏につい…

音楽におけるパクリについて

インターネットとかでよく、「この曲は○○という曲のパクリ」とかいう話があります。 必ずしも音楽的な分析に基づいていないものも多くて、単にアレンジが似てる、とか、どっちも定型的なコード・パターンを使ってるだけ、とかいったものもパクリと呼ばれたり…

占い、予言、予知

物理的に未来から過去へ伝わる情報はないから、科学的な意味では、未来の予知というのはありえない。 「過去/現在のことを言い当てる」ということならば、一見神秘的に見えても、実は大したことではありません。過去もしくは現在の情報は、知り得ることだか…

ジャズの本質は即興か(つづき)

ジャズとは即興芸術、という言説は、「本質論」に属する。 ジャズという一つの「実体」があり、それはある「本質」を備えている、という。 「ジャズファン」というのは、「ジャズ」であれば、なんでも好きな人、ということ? ある「ジャズ」が好きで、別の「…

ジャズの本質は即興か

「ジャズ」の語源(いろんな説はあるが)を考えると。 「スムース・ジャズ Smooth Jazz」とか言われると、爆笑してしまう。 おっといけない、この話はここまでだ。 よく「ジャズ愛好家」の人が、「ジャズの本質は、即興の芸術なのだ」とか、言って、「即興性…

セロニアス・モンク Crepuscule with Nellie のコード進行

セロニアス・モンクは女性に捧げたバラードの名曲というのが多いですね。 "Ruby My Dear"のルビーさんは、初恋の女性の名前だとか。 パノニカ男爵夫人に捧げた"Pannonica"、あの曲もすごくきれいなんだけど、半音ちがいの2つのキーのマーブルになってて、不…

チャールズ・ミンガスとエリック・ドルフィー、伝説の会話

DVD"Jazz Icons: Charles Mingus Live in 64"。 チャールズ・ミンガス、1964年の欧州ツアーの映像、素晴らしすぎる。 その最後に収録されてる1964年スウェーデンでのMeditation on Integrationのリハーサル映像。 グラサンのミンガスが、イントロをすぐ止め…

ダークソウル2、買ってみた

最序盤の雑感。 オフライン専門、ストーリー、ステージの具体的なネタバレは極力避けて。 そして有益なことは何一つ書かない。 戦士でやってみた。おそらく序盤の拠点になる場所の周辺をウロウロ。 ・オープニング・ムービー、すごくいい。 ・デモンズソウル…

サーター・アンダギーの謎

何気なくアメブロからはてなブログに移行してみましたが、 まったく編集方法わからず。 そんなことより、サーター・アンダギーの謎。 寝しなに『簡明スワヒリ語‐日本語辞典』(宇野みどり,国際語学社,2009)を読んでいたら、 andazi(ma) アンダズィ (名)揚…

惑はずなくららの花の暗き夜に我もたなびけ燃えむ煙は/藤原顕綱

塚本邦雄が『王朝百首』で採りあげていた歌。 惑はずなくららの花の暗き夜に我も靆(たなび)け燃えむ煙は まどわずな/くららのはなの/くらきよに/われもたなびけ/もえむけむりは 藤原顕綱の家集『讃岐入道集』に入ってる。 なんか佶屈で、意味のよくわ…